ほっこくブログ ~潟のエトランゼ~

来訪者から見た北國のすがた

イオンモール新小松のお惣菜

 

イオン新小松の食品売り場は夜9時過ぎからがフィーバータイムである。これは小松に住む人間なら誰もが知っている。

とってもお安い。その上取り扱う品目も幅広い。割引が始まる時間帯でもまだまだ売れ残っている。揚げ物が安い。弁当が安い。そしてパンが安い。

ここ二ヶ月ほぼ毎晩通っているが、半額になった塩パンが山積みされているのを見るといつも気持ちが高ぶる。ただでさえ定価110円とお手頃な塩パンがたった55円で食べられる現実を前にニヤニヤを隠せない。

自分以外にも割引商品目当てで来ているお客さんは多い。彼らは割引率の高い売り場の周囲をニヤニヤしながら衛星のようにいつまでも廻っている。私にはわかる。きっとみんな、お安くご飯を食べられることに無上の悦びを見いだしてしまったのだろう。

私は楽しい。ここへやってくるために使う自動車のガソリン代、移動や買い物にかかる時間、そして安さを言い訳にした本末転倒な衝動買いのリスク。それら全てをひっくるめたうえでなお、毎晩ここでご飯を買うのが果たして本当にお買い得といえるだろうか。自分の場合、実は怪しい。しかしながら楽しい。

気づけばこれはもはや趣味であった。

割引きし始めた食料品を見て歩く十数分が、1日のうちで一番幸せだと言っても過言ではない。娯楽として「お買得」を楽しんでいる自分に気づいたとき、真に経済的に得をしているかどうかはもはや大きな問題ではなくなっていた。極端な話、4本で192円のキュウリを買うためだけに、往復で140円のガソリン代を支払うという一見矛盾した行為も、趣味である以上不満はないのだ。

もちろん卑しい趣味であることはわかっているつもりだ。私が安く買う品を普段から定価で買うお客さんがこの世の何処かにいるわけで、自分はそのような人達のおこぼれにあずかっているわけである。頑なに割引商品しか買わない自分のような客など、お店の経営者にとっては来ても来なくても同じである。

しかしながら安物買いは楽しい。安く美味しいご飯を食べられることが楽しい。前述したように、割引商品を見ている時間は私にとってかけがえのない幸せだ。

半額になった塩パンの山が、仕事に疲れてヘトヘトになった私を何度でも甦らせる。